はじめに
2026年5月15日、私たちはSyncCore™ v3.2をリリースしました。このバージョンで最も重要な改善は、エンドツーエンドレイテンシの30%削減とスループットの25%向上です。本記事では、この改善を実現した技術的なアプローチを詳しく解説します。
「分散システムにおける1ミリ秒の差が、金融市場では数億円の価値を持つ。SyncCore™ v3.2はその常識を更新した。」
主要な改善点
1. Raft心拍タイムアウトの動的最適化
従来のRaft実装では、心拍間隔を固定値(デフォルト150ms)に設定していました。v3.2では、ネットワーク状態をリアルタイム分析し、心拍間隔を動的に20ms〜200msの範囲で自動調整するアルゴリズムを実装しました。
2. eBPF カーネルバイパスによるパケット処理
v3.2では、eBPF(extended Berkeley Packet Filter)を活用したカーネルバイパス機構を導入しました。これにより、従来はユーザー空間で処理していたパケット転送処理をカーネル空間で直接実行し、コンテキストスイッチコストをゼロに近づけることに成功しました。
eBPFバイパス導入により、パケット転送レイテンシが平均4.2μsから1.8μsへ57%削減。スループットは従来比3.2倍に向上しました。
3. CRDTベースの競合解決エンジン
分散環境でのデータ競合解決に、CRDT(Conflict-free Replicated Data Types)を全面採用しました。従来の2PCコミットと比較して、ネットワーク分断時の可用性を維持しながら、最終的整合性を保証します。
- G-Counter: 単調増加カウンター。イベント数の分散集計に使用
- LWW-Element-Set: 最後書き込み優先セット。ノード設定の同期に活用
- RGA (Replicated Growable Array): 順序付きリストの競合フリー操作
ベンチマーク結果
東京・大阪間の実回線環境でのベンチマーク結果です。テスト条件は10万ノードクラスター、負荷率80%、24時間連続運転です。
移行ガイド
v3.1からv3.2へのアップグレードはローリングアップデートで安全に実施できます。ダウンタイムなしの移行が可能で、標準的なクラスターでは約30分で完了します。
v3.2はv3.x系と完全な後方互換性を持ちます。v2.xからのアップグレードには移行ガイドをご参照ください。